黒木亮氏の作品は昔から好きでよく読みます。内容が深くその業界の奥まで知ることが出来るので、新刊が出ると購入するようにしているおすすめの著者です。
今回はこれ!
『アパレルの興亡』を読了!
今回の作品は、2020年にレナウンが倒産するという事故が発生しましたが、コロナ禍の中で苦戦が続いているアパレル業界にスポットを当てた作品です。実際に実在する会社や、投資家も登場し、とても読み応えのある一冊でした。
作品の中に出てくる主人公が経営する会社、「オリエントレディー」は実在した「株式会社東京スタイル」、オリエントレディーと合併する「KANSAIクリエーション」は、「株式会社サンエーインターナショナル」です。実在した会社を元に作品が作られているので、作品に入り易いと思います。
この本を読んで伝えたい事は以下のように感じました。
作中の創業者、池田定六は経営理念として、
「春風をもって人に接し 秋霜をもって自らを慎む よく汝の店を守れ 店は汝を守らん 信用は信用を生む」
という言葉をあげています。
この言葉は、前半の部分はは佐藤一斎という儒学者の言葉で、意味は、「春の風のように暖かく穏やかな気持ちで人に接し、秋の霜のように厳しく自分を見つましょう。」つまりは、自分には厳しく戒め、他人には穏やかな気持ちで接し学ばせてもらうという意味合いと考えます。
そして、後半の部分は、18世紀のアメリカの政治家、ベンジャミンフランクリンの言葉で、「自分の身を守りたいと思っても、自分を守るのではなく、なにより会社と社員を守るべきであり、間違っても先に保身をしてしまうと会社は自分を守ってくれなくなる。」という意味だと考えられています。
ベンジャミンフランクリンとは➡️ベンジャミン・フランクリンの名言 | 地球の名言
私は、この言葉を、
自分を厳しく律すれば、その姿に、人は手を差しのべてくれる。誠実に業に取り組み、誠実に生きよ。
と解釈しました。私なりの解釈になりますが、会社も人も社会に対して、またお客様に対して、誠実でなければなりません。そして、その心を持ち続けることが会社を永続させる事につながります。「目先の利益より、信用を得ること」ではないでしょうか。
会社を運営し経営していく上での大切な事や、忘れてはならない事が語られている一冊をお勧めいたします。